家具の転倒防止の方法|器具の種類と効果、賃貸でできる組み合わせ

家具の転倒防止は、L型金具などで壁にネジ固定するのが最も効果が高い方法です。壁に穴を開けられない場合は、ポール式とストッパー式(またはマット式)を組み合わせると、効果を高められます。器具を付ける前に、寝る場所や出入口の近くに家具を置かない配置にしておくことも大切です。

なぜ家具の転倒防止が必要なのか

東京消防庁の資料によると、近年の地震でけがをした人のうち、約30〜50%が家具類の転倒・落下・移動によるものでした。倒れた家具は、けがだけでなく、電気ストーブのスイッチを押して火事の原因になったり、通路や出入口をふさいで避難を妨げたりすることもあります。

建物が高いほど揺れが大きくなる傾向もあります。東日本大震災のあとに東京消防庁が都内で行った調査では、家具類が転倒・落下・移動した割合は、1〜2階で16.8%、11階以上では47.2%でした。高層階では、倒れるだけでなく家具が大きく動く「移動」への対策も必要になります。

まず配置を見直す

内閣府の防災広報では、家具は地震のときに倒れるものとして考え、次のような工夫をするよう呼びかけています。

  • 倒れる向きを考え、出入口や避難経路をふさがない位置に置く
  • 家具をできるだけ1か所にまとめ、人のいる場所に置かない
  • 作り付けの家具を利用する
  • 寝室にはなるべく家具を置かない
  • 置く場合は器具で固定する

収納のしかたも効果があります。東京消防庁のハンドブックでは、棚には重い物を下に入れて重心を低くすること、窓際には重い物や倒れやすい物を置かないことを勧めています。

転倒防止器具の種類と効果

東京消防庁は、震度6強の揺れを再現した実験で器具の効果を比べています。その結果をもとに、主な器具をまとめました。

主な転倒防止器具と特徴(東京消防庁の資料をもとに作成)
器具特徴と注意点
L型金具家具と壁をネジで固定する。最も効果が高い。壁の下地に付ける必要がある
ベルト式・チェーン式家具と壁に付けた金具をベルトなどでつなぐ。壁に強度が必要
ポール式家具と天井の間に突っ張る。天井に強度が必要
ストッパー式家具の前の下に挟み、壁側に傾ける。背の高い家具では単独の効果は小さい
マット式粘着性のマットで家具の底と床をくっつける。比較的小さな物向け

器具の価格は数百円から数千円程度で、家具店やホームセンター、百貨店の防災用品売り場などで買えると東京消防庁は案内しています。

壁にネジで固定する場合

L型金具で固定するときに大切なのは、石膏ボードだけに留めるのではなく、壁の中の柱や間柱などの下地にネジを効かせることです。

  1. 下地探し用のセンサーや専用のピン、壁をたたいたときの音で、間柱の位置を探す。
  2. 長めの木ネジを使い、ネジの頭までしっかりねじ込む。
  3. 家具の天板の後ろ側に強度がない場合は、家具の幅いっぱいに厚さ12mm以上の板を渡してから金具を付ける。
  4. 上下2段に分かれる家具は、金具で上下を連結してから固定する。

賃貸など、壁に穴を開けられない場合

東京消防庁は、穴を開けたくない場合は2つ以上の器具を組み合わせる方法を挙げ、ポール式とストッパー式(または粘着マット式)を組み合わせると、L型金具と同等の効果が期待できるとしています。

  • ポール式は、家具の両端の、壁側の奥に取り付ける
  • 天井の強度を確かめる。弱い場合は、家具の幅以上の板を天井側に当てて力を分散させる
  • 奥行きのない家具や、天井とのすき間が大きい場合は、ポール式は向かない
  • ストッパー式は、家具の端から端まで敷く

突っ張る器具を使う予定があるなら、家具を買う前に天井までの高さを測っておくと、すき間が大きくなりすぎるのを防げます。測り方は家具の寸法の測り方で説明しています。

中身の飛び出しと家具の移動を防ぐ

家具そのものが倒れなくても、中身が飛び出すとけがの原因になります。

  • 食器棚の観音開きの扉には、扉が開かないようにする器具を付ける
  • ガラス戸には飛散防止フィルムを貼る
  • 本棚など扉のない棚には、落下防止のバーやベルトを付ける
  • 引き出しの多い家具は、ラッチ付きのものを選び、重い物を入れすぎない
  • キャスター付きの家具は、動かすとき以外はキャスターをロックする

家具を選ぶ段階でもできることがあります。本棚の選び方やチェストの選び方では、倒れにくい使い方もあわせて紹介しています。

付けたあとも点検する

器具は一度付ければ終わりではありません。東京消防庁の資料では、マット式は有効期限に注意するよう書かれています。家具の中身を入れ替えたり、模様替えをしたりしたときにも、器具が効いているかを見直しましょう。

  • ポール式が緩んでいないか、天井との間で傾いていないか
  • ネジが緩んでいないか、金具が曲がっていないか
  • マットがはがれたり硬くなったりしていないか
  • 重い物が上の段に移っていないか

防災の日や季節の衣替えなど、点検する時期を決めておくと忘れにくくなります。

どの家具から対策すればよいか

東京消防庁によると、対策が必要な家具の高さや重さの基準はなく、すべての家具に対策するのが最も安全です。それが難しい場合は、寝室に家具を置かない、倒れる方向を考えて配置するといった工夫をしたうえで、重く背の高い家具から順に対策するよう勧めています。区市町村によっては、高齢者や障害のある人の世帯などを対象に、器具の配布や取り付けを支援していることもあるので、住んでいる自治体の案内も確かめてみてください。

地震に備えて収納を見直すなら、背の低い家具にまとめるのもひとつの方法です。商品一覧から、種類やサイズで探せます。

まとめ

家具の転倒防止は、配置の見直し、重い物を下にする収納、器具での固定の3段階で考えると取り組みやすくなります。器具は壁の下地へのネジ固定が最も効果的で、穴を開けられないときはポール式とストッパー式などを組み合わせます。扉や引き出しの飛び出し対策もあわせて行い、重くて背の高い家具から順に手を付けていきましょう。器具を付けたら、緩みやはがれがないかをときどき点検することも忘れないでください。